大隅半島の南部にそびえる稲尾岳。九州百名山に選ばれ照葉樹の森として有名なこの山にはサンショウウオの幼生が生息しています。
九州南部ということで訪れるのは大変だと思いますが,登山口まではずっと2車線道路なので車さえあればアクセスは容易です。
登山口にはビジターセンターがあり職員の方が常駐しています。登山届けはここで提出。トイレもここで済ませましょう。
サンショウウオを見に来たことを伝えると立体模型を使って生息地をレクチャーしてくれます。時期的には7月中旬ベスト,場所は川の源流辺りに生息しているそうです。
※ちなみに今回の記事も昨年7月の様子です。
登山口から沢の流れを源流に向かって歩きます。九州南部の山は霧島の韓国岳や高千穂峰のような火山で岩場の山が多いので,こういった沢を歩くのはとても新鮮です。
1時間ほど歩いて川の源流に到着。山の奥から水が流れていますがその流れは非常に静かで広々とした水たまりができています。この時期はシソバタツナミも咲いています。
サンショウウオ散策開始
川の中を覗いてみるとメダカのようなオタマジャクシのような黒っぽくて3cmほどの小さな魚が泳いでいます。しかし何か変だ。泳いでいるというよりは水の中をピョコピョコ飛び回っている感じでした。そしてよくよく見てみると・・・足が生えてる!
手ですくおうと試みますがコイツがなかなかにすばしっこい。数分間の格闘が続きますが手強い。ならば周りの砂ごとすくいます。
慎重に慎重に両手の隙間から砂だけを落とすとでてきました。これがサンショウウオの幼生です。オタマジャクシと違って頭は小さく目はギョロ目。なんとも可愛らしい奴です。手の中で飛び跳ねる飛び跳ねる。色が白かったら間違いなく躍り食いできる。それほどまでに可愛い。
しばらく手の上で遊んでましたが数分たつと動きが鈍くなってきます。ちょっと弱ってきた様子。水の中に戻すと元気になりました。よかったよかった。
さてこのサンショウウオですが成長すると20cmほどの大きさになるそうです。そしてその頃には生息地が水の中から森の中になるそうで見つけるのは非常に困難ということ。まぁこれぐらい小さい方がいいですよ。大きくなったらたぶん可愛さなんて無くなると思います。
登山道の様子
川の源流を過ぎてからが山頂へ向けた登りが本格化します。山頂からの展望はありませんが途中一カ所展望スポットがあります。
道中はカエルの宝庫です。足を一歩踏み出すとまるで道案内をしてくれるように次々とカエルが跳びはねます。僕はカエルは全然苦手ではないのですが、恐ろしいのはそのカエルを餌にする蛇もいるということ。出会ったことはありませんが木の上から降ってきたとかいうおぞましい話を聞きました。
滝巡りコースは水が豊富なためかアブやブヨに囲まれる危険があるので虫さされ対策をしっかりしましょう。
稲尾岳。爬虫類好きにはたまらない山だと思います。