マラソンブームの影響もあり近年トレイルランニングが広く知られるようになり全国各地で大会が行われるようになりました。マラソン雑誌もトレラン特集を組んで山の走り方やトレラン独自の装備の紹介をすることが多くなったように思います。
しかし競技人口が急速に増えそれに伴う問題も出てきました。
登山者への配慮・環境への影響といったものが主ですが、これらが原因になり地元の陳情で中止になった大会もあります。
そこでついに環境省がガイドラインを示しました。
近年、山岳地の利用形態が多様化する中で、自然豊かな国立公園等をフィールドとしたトレイルランニング大会等が多数開催されています。多数の参加者が一斉に狭い歩道を走行することとなる大会等について、歩道周辺の自然環境への影響、歩道の損傷及び他の公園利用者の安全で快適な利用の妨げ等が懸念されています。
自然公園法は、国立公園内の歩道を走ることを制限するものではありませんが、国立公園の保護及び適正な利用の推進を図るため、国立公園におけるトレイルランニング大会等の取扱いについて検討しています。
本件は、環境省としてまとめたトレイルランニング大会等の取扱いについて、広く意見を伺う機会を設けるものです。
説明会については「GRANNOTE トレイルランニングと山と旅と」に詳しくまとめられています。
環境省が国立公園におけるトレイルランニング大会の指針を発表 | grannote グランノート
以下僕自身が気になった事、今後どう対応していけばいいのかを述べていきます。
モニタリングの実施
トレラン大会等の開催による自然環境等への影響について、把握している情報に応じたモニタリングを大会主催者により実施する。
トレラン大会は時には数百人が登山道を走ることになります。土壌は削られ植生に影響を与えることは明らかです。
しかしこれはトレランに限ったことではありません。
観光地化した山は頂上近くまで道路を整備し数百人どころか数千人が訪れ多くの人が登山道を登っていきます。
その違いは歩くか走るかということです。
登山であれトレランであれ人間が踏み込む以上自然に影響を与えないということは不可能なので、必要なモニタリング調査を行い、自然環境にあたえる影響をいかに最小限にすることができるか。その点を考えていくことが重要だと思います。
参加者に求められる遵守事項の例
- レース中においても、他の公園利用者への配慮を心掛けること
- コースから外れないこと
- トイレは所定の場所で済ますこと
- ゴミは持ち帰るか、主催者が準備する所定の場所に捨てること
- ストックはキャップを装着し、使用可能場所でのみ使用すること
- 他の公園利用者とのすれ違いでは、他の利用者を優先させること
- 集団、並列走行をしないこと
- ゼッケン等を着用し、参加者であることが分かるようにすること
これを見て思ったことは、当たり前のことだよな。というのが率直な感想です。
むしろ一般の登山者はどうでしょうか?上のようなことが守られているでしょうか?
年配の登山者はツアーを組んで大人数で登山道を独占します。道を譲ることもなく大声で談笑しながら山を歩きます。
登山道から外れトイレをすませる人も多いのではないでしょうか?
僕のような単独登山をする者にとってはっきり言って彼らのような登山者は迷惑です。
しかしそれを問題にすることはありません。なぜなら楽しみ方は人それぞれだからです。
トレラン大会では概ね上のようなことが記載されていて参加者は決められたルールに従いレースを楽しんでいます。
もちろんルールから外れる者も少なからずいます。それは大変残念なことです。
実際に接触事故なども起きているようです。その点では歩く人より走る人が注意して追い抜くときは積極的な声がけ等が必要だと思います。
固定概念にとらわれては危険
「山は走るものではない」といった固定概念にとらわれて議論することは非常に偏った考えだと思います。
時代とともに新たなニーズがでてきます。トレランは山を走ることを楽しむといった事に特価した新たなスタイルです。
なのでそれを知らない人たちの中には受け入れられない人がいるのも当然の流れだと思います。
今後の展望
さて、朝日新聞がトレラン大会、国立公園では開催困難にといった煽り記事を書いていますが実際はどうなのでしょうか?
トレラン大会、国立公園では開催困難に 環境省が指針:朝日新聞デジタル
当日次のような質疑があったようです。
Q.このガイドラインに準じた配慮を行えば、大会を開催してもよいという意味か?
A.環境省としては大会を排除するということではなく、公園の利用のあり方や自然環境を考慮した上で、トレイルランニング大会がよりよいものになればと考えている。
とりあえずは一安心といった感じでしょうか?
僕が参加する大会はいつも運営の方と地元の方が協力して大会を作り上げている印象があります。
エイドステーションや参加賞には地元の特産品が振る舞われ、炊き出しは婦人会おばちゃん達がいつもおいしい食事を提供してくれます。この背景には町おこしの一環といったものもあるのだと思います。WinーWinの関係ってこういうのなんだなと思います。
自分たちだけが自由に楽しむのではなく主催者・参加者・地元の方一般の方、皆が納得できる形での大会が理想です。
このような中で環境省がガイドラインを示したことは大きな前進だと思います。
僕自身トレイルランを楽しむ人間なのでどうしてもランナーとしての立場でしか語ることができません。
だけど現在のトレイルランニングは様々な問題を抱えている。ということを頭に入れながらマナーを守り大会に参加していきたいと思います。